一般にホメオスタシスという言葉を広めたのは、苫米地英人さんです。
ホメオスタシスは日本語でいうと生体の恒常性維持機構ということになります。
ギリシャ神話の神の名前のような言葉ですが、語源は同一の状態ということです。
英語っぽくホモステータスと言ってみると、なんとなく由来がわかりやすくなります。(実際の語源は古典ギリシャ語です。)
ホメオスタシスという言葉の提唱者は、生物学者のウォルター・B・キャノンだとされています。
トランジスタシスはホメオスタシスの反対語、対義語と言われていますが、学術用語ではありません。
単純に逆の意味になりそうな言葉を誰かが作ったのでしょう。
エヴァンゲリオンの造語だと言われています。
苫米地さんは理解をわかりやすく簡単にするために、哺乳類が体温を一定に保つ機能があり、外気温が変化しても、体温を一定に保つ働きがある、これをホメオスタシスフィードバックと呼び、同様の機能が人間の精神にも備わっているというような説明をしています。
現在の状態をコンフォートゾーンだとして、人間はホメオスタシスにより、コンフォートゾーンを維持する(石井裕之さんの現状維持という言葉がわかりやすいかも)ように働いてしまう力があり、ダイエットしたいとか、お金持ちになりたいといった願望が、なかなか実現されないの原因となっているということです。
抑制的に働く負のフィードバック(負帰還)と促進的に働く正のフィードバック(正帰還)により一定に調節される、しかし、そこにはバッファがある。
エアコンの仕組みの例がわかりやすいです。
28度に設定しておくと、30度くらいになったら、温度を下げる機能が働き、
26度くらいになったら、温度を上げる機能が働く、でも27.9度では作動しない。
26度から30度の間はバッファとなっています。
ホメオスタシスに関与するのは?
このコンフォートゾーンですが、変な造語ではなく、看護師国家試験でも出題されるようなちゃんとした用語です。
実際に出題された問題は以下です。
1. 味 蕾
2. 筋紡錘
3. 痛覚受容器
4. 浸透圧受容器
5. 中枢化学受容体
答えは、4と5です。
4の浸透圧受容器は血漿浸透圧を調節、5の中枢化学受容体は血液のpHやPaCO2の調節をしています。
この問題の回答からわかりますが、ホメオスタシスというのは、恒温動物が体温を調節するだけの機能ではないのです。
ホメオスタシスの制御は、主に、自律神経系、内分泌系、免疫系において行われています。
健康診断で、毎年だいたい同じような結果になることからも、血糖値のような体の内部環境が一定に保たれていることがわかります。
このように、生命維持に関与する重要な機構なので、ホメオスタシスを超えることはとても難しく、ダイエットをしたらリバウンドしてしまったりしやすいと言われています。
ホメオスタシス化粧品って本当?
上で述べたように、生物学的には、主に、自律神経系、内分泌系、免疫系に作用しているとされているのですが、皮膚の恒常性を保つことを目的とした化粧品というものも開発されているようです。
という発想なのでしょう。
体温調節機能があるから、人間の脳やメンタルも同じように制約を受けるというような理屈で解説されることが多いので、ホメオスタシスと潜在意識との関係のような話が嘘なのではないかと疑われてしまうのです。
空腹感を感じたら、痩せないようにホメオスタシスが働いている、なんてどんどん拡張されてしまうのが、この言葉の難しいところです。
現状打破する方法
人間は習慣の生き物であると言われることがあります。
人間だけでなく、全ての生き物の行動の大部分は習慣的なものです。
いちいち考えて、毎回行動を変えていたら効率が悪すぎます。
そういった意味で、人間の行動も、新しいことをするよりも、今までどおりのことが安心安定なのです。
現状打破したいのなら、安定した現状をぶち壊すと良いです。
それがどうしても怖い場合は、少しずつ習慣を変えることです。
最初にエアコンの仕組みの例で、バッファがあると説明しました。
バッファの幅が4度だとしたら、26度から30度の間はホメオスタシスが作動しません。
このバッファの範囲を少しずつ移動させることで、人生を変えようというのが習慣を変えるということです。
28度に保つようにしていたのを少しずつ変化させて、29度がコンフォートゾーンになるようにするということです。
これを続けていると知らないうちに大きな成果がでます。
内側から変えていくのです。
中部大学の武田邦彦先生の目標設定に関する考え方の動画です。
武田先生の目標設定の方法を使うと、うまくホメオスタシスによる阻害を乗り越えることができます。